談話室

▼▽「お墨付きを頂けたようで、ほっとしています」。骨太のミステリーを世に放ってきた直木賞作家の高村薫さんが「土の記」で昨年11月、野間文芸賞を受賞した。純文学の世界へ転向を果たした気持ちを率直に語った。

▼▽昨日発表された芥川、直木賞を持ち出すまでもなく、文壇では往々にして純文学かエンターテインメントかの線引きが話題になる。両賞候補を行き来する作家もいて境界は曖昧だが、高村さんの場合は近年の作品自体が純文学ジャンルへと意欲的に踏みだし、新境地を開く。

▼▽大阪出身の高村さんが作風を大きく変えた契機は、23年前の阪神大震災にある。「百八十度の転換が起こった。世界を見る目が変わった」。自身の死生観や宗教観と真摯(しんし)に向き合い、復興とは「生き残った者が犠牲者を踏み越えてゆくこと」と時評集「作家的覚書」に紡ぐ。

▼▽「震災から何を学び取り、何が変わり、何が生まれたのか」。東日本大震災を経た今も高村さんは自問し続ける。教訓を生かせない現代文明を鋭く批判する社会的発言も厭(いと)わない。だが文学への思いは明瞭だ。「ただ生きていることがいとしい、そんな小説が書きたかった」

(2018/01/17付)
最新7日分を掲載します。
  • 1月17日
  • ▼▽「お墨付きを頂けたようで、ほっとしています」。骨太のミステリーを世に放ってきた直木賞作家の高村薫さんが「土の記」で昨年11月、野間文芸賞を受賞した。純文学の世界へ転向を果たした気持ちを率直に語った。[全文を読む]

  • 1月16日
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  • 1月15日
  • ▼▽硬く締まった様子を「おいしくできた大学芋みたいに外側だけがカリカリ」と例える。田んぼに降り積もった雪が前の日のお天気で表面が少し溶けかかってから、夕方、夜と急激に冷えて凍る-。「かたゆき」である。[全文を読む]

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  • 1月13日
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  • 1月12日
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  • 1月11日
  • ▼▽父は今年65、母は64になる。「子どもだけのために年とった」―と1972(昭和47)年、井上陽水さんは「人生が二度あれば」の中で歌った。老親に哀感が込もる。以来46年がたつが、老のイメージは随分変化した。 [全文を読む]

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