社説

平成創業率、本県最下位 起業家支援の充実急務

 企業全体のうち、「平成」の約30年間に創業した企業の割合である平成創業率が、本県は40.86%となり、全国で最も低かったことが東京商工リサーチのまとめで明らかになった。全国平均の60.15%と比べると20ポイント近くの差がある。起業・創業の少なさは、県内経済の停滞や衰退を反映しているともいえる。

 同社によると、全国で平成に創業した企業は本県の1万172社を含む207万4902社で、企業全体(約345万社)の約6割を占めた。昭和に創業した108万3383社の約2倍。2006年に施行された新会社法で最低資本金制度が撤廃され、会社設立のハードルが下がったことなどによる起業ブームが背景にあるとみられる。

 都道府県別にみると、平成創業率が最も高かったのは東京で73.56%。次いで神奈川67.84%、大阪65.5%、千葉65.06%、埼玉64.08%と続き、大阪を除き首都圏が上位を占めた。東京一極集中の強まりを反映したともいえる。

 一方、低かったのは下から本県、次に山梨41.18%、福井42.65%、群馬42.99%と地方が目立つ。本県は、明治創業率や大正創業率が全国トップで、昭和創業率も2番目に高かったが、平成は一転して低くなった。東京商工リサーチは、鋳物や家具、繊維工業など、伝統的な地場産業が根付いている地域ほど平成創業率が低い傾向にあったと分析する。

 創業の少なさの背景には、若者の安定志向の高まりや、市場の飽和状態などがあると考えられるが、一方では、既存産業内の新陳代謝や新しい分野への挑戦が活発でないことの裏返しでもあり、手をこまねいて見ているわけにはいかない。

 県は18年度、若者らによる新たな発想や斬新なアイデアによる創業を支援する「若者創業応援プロジェクト事業」をスタートさせた。それまでも具体的起業プランのある人を支援してきたが、新事業では創業者育成キャンプやインターンシップなどを通して、創業に関心のある若者を幅広く掘り起こし、UIJターンや県内定着につなげていく。

 また、山形大も起業家の育成などを目的とした「EDGE-NEXT(エッジネクスト)人材育成プログラム」を昨年度スタート。受講した大学生や社会人の中から、実際に起業した人が誕生するなど成果を上げている。

 さらに本年度は、鶴岡工業高が山形大国際事業化研究センターの協力を得て、起業家育成・地域連携プロジェクトを展開。山形大が一般・学生向けに開いている「EDGE-NEXTプログラム」の講義を、高校生たちがテレビ会議システムなどを使って受講している。

 近年は、山形大や慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市)発のベンチャー企業も相次ぎ誕生している。柔軟な発想力を持つ若者たちの意欲を早い段階から刺激し、起業や事業創出を促していくことは重要であり、こうした取り組みをさらに広げていくことが必要だ。

 令和の時代、本県の産業をより活性化していくためには、行政や金融機関、教育機関などが連携し、起業家の育成や新たな挑戦を支援する態勢を整えることが急務であろう。

(2019/07/18付)
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