社説

巨大IT企業規制 バランス取れた対応を

  「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に対する政府の規制強化案がまとまった。契約条件の開示を義務付け、違反企業への行政指導を可能にする法律の整備が柱となる。具体策を今夏に策定する成長戦略に盛り込む。

 頭文字から「GAFA(ガーファ)」と称されるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムの4社などによる個人情報の寡占や、取引業者に対する不当な行為を防止することが目的だ。さらに、世界市場で展開するデジタル事業に対する課税方法についても検討。政府は議長を務める6月の20カ国・地域(G20)首脳会合で、規制強化策と併せて主要議題として提示し国際的な協調を主導したい考えだ。

 規制強化や課税の適正化は喫緊の課題であることは間違いないが、プラットフォーマーがデジタル技術によって新市場を切り開いて世界経済の成長をけん引し、その成果が人工知能(AI)などの形で自動運転技術開発などに活用されていることも事実である。市場規律を乱していることは看過できないとしても、過度な規制を敷くことで、その新規性や創造性が失われることは好ましくない。バランスの取れた対応を望みたい。

 スマートフォンやパソコンなどを通じたインターネット通販、ホテルなどの予約、会員制交流サイト(SNS)、キャッシュレス決済などは個人生活、企業活動などに広く深く浸透し、もはや巨大IT企業が提供するサービス抜きでは社会が成り立たないほどだ。山形のような地方にいてこそ実感する利便性もあろう。

 しかし、近年になって負の側面が目立ってきた。国際的に注目されたのはフェイスブックの個人情報の漏えいだ。2016年の米大統領選に絡み最大8700万人分が流出し悪用された。

 ネット通販などを利用する消費者は一定の個人情報を登録する必要がある。さらに利用する度に検索、購買履歴などのデータが蓄積される。プラットフォーマーはこうして収集した膨大なデータを分析し、個人の嗜好(しこう)に合わせた広告を送るビジネスなどを展開し好業績を上げている。だが、この過程で収集した個人情報の扱いについて消費者に正確に説明しているとは言えず、個人情報がどう活用されているか不安を抱く消費者も多い。

 強い立場を利用して一方的に規約などを変更し、出品業者が不利益を被ったケースなども報告されている。アマゾンジャパンはポイント還元サービスの撤回に追い込まれた。ポイントの原資を出品業者が負担する仕組みだったことから公正取引委員会が、強い立場を利用して相手に不利な条件を押しつける独禁法違反(優越的地位の乱用)に当たる疑いがあるとして調査に入ったからだ。

 プラットフォーマーは巨額利益に見合った納税をしていないとみられている。法人税は、工場などの物理的拠点がある国で納税するのが基本だが、海外からのネット配信だけで事足りるデジタルビジネスに、どう課税するのか。その国での売上高を基準とするなど拠点の有無にかかわらない方式が欧州などでも検討されている。国際協調で日本の存在感を高めたい。

(2019/04/26付)
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