社説

西山杉の利活用 認知度高め需要を促進

 西川、朝日、大江の西村山3町で生産される地域ブランド材「西山杉」。生産振興や需要拡大を目指し県や各町、林業・住宅関係団体などが設立した「西山杉利活用推進コンソーシアム」(会長・佐藤浩之県村山総合支庁産業経済部長)は本年度、ブランド化に向けた情報発信などの取り組みを強化している。

 9月には山形市で開催される2年に1度の芸術祭・山形ビエンナーレ2018に参画し、西山杉を使ったメモリアルオブジェを制作・展示する。多くの若者が参加するイベントでアピールすることで県内外での認知度を高め、ブランド化と需要を促進する取り組みに期待したい。

 一方、西山杉の名前を耳にすることは徐々に増えてきたものの、実際に住宅や民間施設などに利活用する動きはまだまだ弱いのが実情だ。PR強化による需要拡大はもちろんのこと、林業に携わる人材の育成・確保や高品質材を安定的に供給できる体制づくりなど、“川上”から“川下”までの対策を一体的に進めていく必要がある。

 出羽丘陵山系を中心に産出される西山杉は、光沢があって色彩が良く、材質が堅いといった特徴があり、品質の良さから市場でも高評価を受けている。県によると、西村山3町の森林面積は約6万3千ヘクタールで村山地域全体の約4割を占める。そのうち人工林は1万1千ヘクタール。人工林をベースにした3町の利用可能量は年間7万立方メートルで、16年度の年間丸太生産量2万6千立方メートルを大きく上回っている。

 県は13年度に林業振興と農山村の活性化を目指す「やまがた森林(モリ)ノミクス」を宣言、地域の特色を生かしたモデル事業を推進しており、同コンソーシアムもその一環として組織された。生産拡大、安定供給、需要拡大の各ワーキンググループを設け、具体的な指標や行動計画を示しながら対策を進めている。

 これまで、西山杉をふんだんに使った新規就農者用住宅(大江町)の建設や、西山杉で製作した積み木を保育施設などに貸し出す「木育」の推進などにも取り組んできた。その結果、当初、19年度までの達成を目指していた年2万6千立方メートルの丸太生産量を16年度にクリアし、目標値を4万7千立方メートルに上方修正するなど好調に推移している。川上対策の人材育成面でも、県立農林大学校に新設された林業経営学科の1期生を含む2人が西村山地方森林組合に就職するなど、明るい動きが出始めており歓迎したい。

 一方で、取り組むべき課題も多い。まずは川中対策の行動計画にも盛り込まれている品質規格の明確化だ。最大の消費分野である住宅用材として使ってもらうには、安全・安心を求める消費者ニーズに対応していく必要があり、西村山地域にまだない製材などの日本農林規格(JAS)認定工場整備は不可欠となる。行政が支援しながら民間事業者の対応を促していきたい。

 公共空間や街並みなど、目に見える場所に西山杉をふんだんに取り入れることで県民への浸透を図っていくことや、建築用材以外での用途を拡大していくことも重要だろう。3町の関係者が同じ方向を向き、具体的な取り組みを一つずつ着実に積み重ねていくことが肝心だ。

(2018/08/20付)
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