本県避難者、賠償増額を主張 控訴審初弁論、国と東電棄却求める

2020/10/31 12:33
原告側の主張について説明する弁護団の安部敏団長(右から2人目)=仙台市

 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故で、福島県から本県に避難した190世帯692人が国と東電に対し、計約21億円(1人当たり300万円)の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が30日、仙台高裁であった。原告側は計44万円にとどまった一審山形地裁判決の賠償命令額の増額などを求め、国と東電側は請求棄却を求める答弁書を提出した。

 政府機関が2002年に公表した地震予測の「長期評価」に基づき、津波被害を予見し十分な事故回避策を事前に講じていたかや、避難に伴う精神的苦痛に対する賠償額が主な争点となる。福島市から山形市へ息子と共に身を寄せる40代女性が意見陳述し、避難生活によって家族関係にも不和が生じたとし「放射能汚染がある限り、被害は今も続いている」と述べた。

 原告側代理人の意見陳述も行われ、国は長期評価に基づいて規制権限を適切に行使し、東電に対し防潮堤設置や非常用電源設備の水密化などを指導すべきだったと指摘。慰謝料については原告の個別事情を考慮すべきだと主張した。一方、国と東電側は長期評価の信用性は低く、原告への賠償は既に済んだとしている。

 閉廷後、仙台市内で開かれた原告側弁護団の報告会で、安部敏団長は「来年で事故から10年となる。正当な司法判断を求めなくてはならない」と力を込めた。弁護団は原告一人一人の窮状を書面にまとめて提出したほか、今後、高裁に対して本人尋問の実施を求める方針を説明した。

 一審山形地裁判決は国の責任を認めず、東電の責任のみを認定し、原告5人に計44万円を支払うよう命じた。直接請求などで既に賠償を得ている原告には、さらなる慰謝料などを請求する理由はないとし、全国の同種訴訟での賠償命令額としては最低だった。

 仙台高裁では今年3、9月に2件の集団訴訟に関する控訴審判決が下された。いずれも一審判決より賠償命令額を増額しており、9月の判決では「東電を規制する立場の国が役割を果たさなかった」とし、国に対して東電と同等に責任を負うべきとの判断を示した。

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